●心は、悩みながら整っていくもの
「統合」は、心の問題が解決するための、
心理学におけるひとつのゴールです。
ストレスクリア®心理学でも、
とても大切な概念ととらえています。
統合とは、
「理解して受け入れて、問題ととらえていたことが、
問題ではなかったことに気づいて
消滅している状態のこと」
です。
人は、統合したいという思いがある一方で、
それだけでは物足りないという思いも抱えているものです。

●「分離」と「統合」をくり返して成長する
統合について、ひとつだけ言えることがあるとすれば、
「人は、絶えず『分離』と『統合』を繰り返している」
ということです。
一度分離をしなければ、統合にも至りません。
なぜなら、ずっと統合したままでは、
あまりいい状態ではなくなってしまうからです。
これは、どういうことでしょうか?
人は統合すれば、「安心」「安定」を得ることができます。
ところが、安心と安定は一見いいことのように思えますが、
そこにずっと浸っていると、
人は退屈を感じてしまうのです。
同じ毎日がずっと続いていると、
「退屈だ!」と思いますよね。
退屈すると、今度は変化がほしくなります。
変化がほしくなって、
一生懸命に新しいことをはじめると、
今度は変化しすぎて危険な状態に……。
あまりにも変わったことをしすぎては危険なので、
また思い直して安心した状態に入ります。
そして、安心するとまた、
退屈を感じて変化しようとするのです。
つまり人間は、
「安心→退屈→変化→危険→安心…」
というループを繰り返す生き物なのです。
このループは無限に続くので、
人は生きているかぎり、
永遠に分離と統合を繰り返していきます。
ちなみに、分離と統合の繰り返しは、
上から見れば同じところをまわっているように見えますが、
横から見れば、分離と統合を繰り返し、
螺旋階段のように上がっています。
つまり、成長しているということです。
なお、子どもの頃の分離・統合と大人の分離・統合とでは、
成長度合いの桁が違います。
子どもの頃に行う分離統合は、
上から見れば大人のそれと同じに見えますが、
横から見ればずっと大きく成長しているのです。


