■不安に対する3つの誤解
多くの人は、「不安」に対して誤解を抱いています。
前回のコラムで、不安は決して悪いものではないことをお伝えしました。
不安が誤解されやすいポイントは、次の3つです。
① 強い不快感情は自分にとってよくないものなので取ろうとする
② 不安を感じると不安な未来がやってくるから、不安を感じるのをやめようとする
③ ポジティブになればうまくいく、ネガティブ反応をなくせばうまくいく
ひとつ目は前回解説しましたので、今回は、2つ目と3つ目をご紹介します。
■不安が現実化する確率はごくわずか
不安に対する誤解の2つ目は、「不安を感じると不安な未来がやってくるから、不安を感じるのをやめようとする」です。
じつは、「感じている不安が現実になる確率は、数%にすぎない」と言われています。100%の確率で不安な未来に直面している人は、超能力者かもしれません。
それだけの実現率を持っているのなら、その才能を使って、いい現実をつくっていけたらいいですね。
厳密に言うと、現実を引き寄せているものは「不安」ではなく、「不安の奥にあるもの」です。
人には「思考」・「感情」・「感覚」という3つの階層があり、現実も、「思考がつくる現実」・「感情がつくる現実」・「感覚がつくる現実」の3つに分かれています。
「不安」は第2階層の「感情」にあたりますが、「感情の現実化」の力はあまり多くありません。
■現実化する理由は思考だけではない
「思考が現実化する」とよく言われますが、「言葉による思考は、行動を通して現実化する」と言ったほうがより正確でしょう。
たとえば、目の前の本に「浮かび上がれ」と言っても、当然、浮かび上がりません。
つまり、「言葉」と「思考」だけでは、現実化することはできないということです。
人は「本を持ち上げる」=「行動」で、現実化をしています。
その「行動」をするために、「思考」や「感情」が必要なのです。
現実化が起こりやすいのは、「感覚」→「感情」→「思考」の順。
感情の奥には「感覚意識」のようなものがあるのですが、これがとんでもないスピードで現実をつくっているのです。
不安という「感情」自体には、あまり実現化の力はありません。
「感覚意識」につながっている不安の場合のみ現実化しているのです。
「不安」=「感覚意識」ではないため、すべての不安が現実化することはまずありえません。
■自分の「感覚」に目を向けよう
頭の「思考」、胸の「感情」、丹田にある「感覚」という3つのうち、一番現実化しやすいのは、丹田というお腹のあたりにある「感覚」です。
これをきちんと理解していれば、「不安は現実化しにくいものだ」と安心できるでしょう。
ここでは難しい話は控えますが、実現化の仕組みとして、「不安を見ないようにしよう」とするほど、その奥にある「不安を感じたくない」という「感覚」が現実化してしまいます。
ですから、不安と直面して「感じないようにしなきゃ」という現実がやってくるのです。
「お金がほしい」と思うことでも、同じような現実化が起きています。
「お金がほしい」という「感情」の奥にあるのは、「お金がなくて苦しい」という「感覚」です。
その「感覚」が、「お金がなくて苦しい」現実をつくり、「お金がほしい」と思いたくなるような現実を引き寄せているのです。
困るような現実を引き寄せているのは「不安を感じる」せいではなく、「不安」と結びついているネガティブな「感覚」です。
ここを勘違いしないようにしましょう。
■無理にポジティブにならなくていい
不安に対する誤解の3つ目は、「ポジティブになればうまくいく、ネガティブ反応をなくせばうまくいく。だからネガティブ反応である不安を消そうとする」ことです。
あなたは「ポジティブシンキングだとうまくいく」という間違った思い込みを持ってはいないでしょうか?
いま、日本人には変なポジティブシンキングがすりこまれています。
ポジティブであることはたしかにいいことですが、「ポジティブシンキングになれない自分」を苦しく感じてしまうことが問題なのです。
生きていれば、誰だってポジティブになれないときもたくさんあるでしょう。
でも、それは決して悪いことではありません。
たとえば、コロナで将来が不安になったり、仕事がなくなって不安になったりするとき。
こんなときは、未来に不安を持っているほうが、素早く対処する行動をとることができます。
ポジティブシンキングだけで生きようとするのは、人間や現実を理解できていない状態です。
子どものような、人生の学びがない、浅い生き方になってしまいます。
ポジティブシンキングになれない状態のときに、無理にポジティブになろうとしないようにしましょう。
これが「本当に人生をわかっている人」の生き方なのです。
ぜひ、不安を味方につけて、人生を好転させていきましょう。