■「不安」は悪いものではない
不安は、ただ「悪いもの」ではありません。
「悪いもの」だと誤解されてしまうのは、多くの人にとって、不安が不快な感情だからでしょう。
不安に対する勘違いには、大きく3つのパターンがあります。
① 強い不快感情は自分にとってよくないものなので取ろうとする
② 不安を感じると不安な未来がやってくるから、不安を感じるのをやめようとする
③ ポジティブになればうまくいく、ネガティブ反応をなくせばうまくいく
だから、ネガティブ反応である不安を消そうとする。
あなたは、これらがどうして間違っているのかわかりますか?
今回は、まずひとつ目について、もう少し詳しく見ていきましょう。
■「不安」は生きるために欠かせない知恵
不安によくある勘違いのひとつに、「強い不快感情は自分にとってよくないものなので取ろうとする」ことがあります。
「不安」は、自分をコントロールするときに発する、「止まりなさい」「やめなさい」という指示です。
これは車のブレーキにあたります。
もし、不安が心地よいものだったら、気にせずどんどん進んでしまうので、ブレーキ役にならないでしょう。
ですから、不安には強い不快感情があるのです。
たとえば、もし目の前にクマがいたら「死んでしまうかもしれない」という不安がわくので、多くの人が立ち止まります。
もしも不安を感じられず、「クマがかわいい」と思って不用意に近づいたら、襲われてしまうかもしれません。
また、車の往来が多い道路で、反対側に「知り合いがいるから」と飛び出さないのは、正しく不安を感じられているからです。
一方で、猫やほかの動物が車道に飛び出してしまうことがあるのは、車の往来に不安を感じることができないからです。
もし不安を感じることができない人を見かけたら、きっと危なっかしくて仕方がないことでしょう。
このように、不安で立ち止まることは正しい生理反応です。
人間は、もともと力のない動物だったからこそ、こうして知恵が働くようになったのでしょう。
「不安」は人間が生きるために必要不可欠な知恵の一種。
生きるために、取り除くことができないように本能に刻み込まれているのです。
ですから、取り除こうとするのではなく、上手に生かすように、不安の扱い方を考えていくことが大切です。
②と③の内容については、また次回以降のコラムで解説していきます。
楽しみにしていてくださいね。