■苦しみは主体性があればなくなる
「人は苦しみを得ることによって、自分をプラスの状態に持っていこうとしている」という、大きな理由がわかれば、自らあえて葛藤状態になっていたことが理解できるようになります。
目的を思い出すことで、自分が望んでやっていたことがわかるのです。
そもそも「自分が望んでいないのに、やらさられている」と感じることが、苦しみの原因になっています。
「自分が望んでやっているんだ」と主体性を取り戻せれば、苦しみはなくなるのです。
たとえば「不安を感じたくないのに、なんで不安を感じなきゃいけないんだ」と思っていると苦しくなります。
でも、「不安がないとダメ人間になる」「寿命が半分になる」「生き残るために不安を感じるようになっているんだ」ということが自分でわかっていると、不安を感じることへの苦しみや葛藤状態はなくなっていくわけです。
●なぜそれをするのか目的を思い出そう
以前、「家の鍵がかかっているのか不安で外出できない」という相談がありました。
その人の場合は、「家を出ても鍵がかかっているか不安で何度も家に戻ってしまう。駅まで行っても不安になると家に戻ってしまう…」というくらい、強い不安を感じていたそうです。
そこで、こちらからいろいろな質問したところ「鍵がかかっていないと泥棒が入るのではないか」と心配していること。
そして、それは「鍵をかけることで、自分の家を守ろうとしていた」という目的からきていることが判明。
すると、不安が一瞬でえてしまいました。
セッションのあとからは、不安を感じることがなくなり、鍵をかけたかどうか考えることもなく、まっすぐ駅まで向かい、自然に電車に乗れるようになったそうです。
自主性を取り戻すと、それほど一気に不安から解放されるものなのです。
●不調の奥に「かまってほしい」思いがある?
何十年も腰痛が治らず、困っていた人の例です。
この人は一時期よくなったとしても、また腰痛が再発するということが数十年に渡って繰り返し起きていました。
この人の場合は、「腰痛がなくなると誰からも心配してもらえない」という不安が、腰痛が治らない原因でした。
もともと「人から愛されていない」という思いが強かったため、腰痛が出ると「みんながかまってくれてうれしい」という病気のメリットを感じていたのです。
A:腰痛は痛いから治したい
B:痛みがなくなったら誰もかまってくれない
病気になってしまう人の場合、このようなダブルバインドが起きているケースは、少なくありません。
ときに身体に不調が出るほどに、人間にとって「かまってほしい」「愛されたい」という飲求は、とても強いものなのです。
たとえば、兄弟が多くて、親にかまってもらえなかった場合。
「兄弟よりもかまわれたくて、わざと風邪をひいていた」という人もいます。
そういう傾向を持ったまま大人になった場合、無意識にパートナーの気を引こうとして、病気になってしまう可能性もあるでしょう。
このように、ひと口に「かまってもらえない」と言っても、その奥にもっと深い感情があることもあります。
それがわかると、より深く、大きな変化が起こるでしょう。
虫歯のように、物理的な理由が明確なものは、思考を変えても治すことができません。ところが、がんのような、理由のわからない病気ほど、自分の内面が変わることで治りやすいということもあるのです。
不安がなくなっていくことで、身体の不調も解消されていくかもしれません。
心あたりがあれば、ぜひ取り組んでみてください。